ただ、ボラを愛でたくて。BL感想日記

ただ、ボラを愛でたくて。BL感想日記

ミーハーとマイナー上等。ニアもブロマンスもニオイ系も好き。読んだBL感想をネタバレなしでレビューします。

恋に溺れる刑事×美しき外科医にして殺人鬼。ミステリー風味BL「神のきまぐれ」感想

BLとミステリーって親和性の極みだと思うのだが、いかがだろうか。イニシエから2人の関係を匂わせる、ブロマンスな探偵小説は多いが、私が言いたいのはBLレーベルから、もっとガツンとしたミステリーものが出てもいいのではないか、ということだ。

 

というわけで、この頃は夜な夜なミステリーなBLを探している。しかしこれが意外と見つからない。ぐぬぬ。結局、ミステリーはあっても自分好みのキャラクターでないと読む気になれないのも一因だ。自分で門を狭めてどうする。

 

そんなこんなで今回、手に取ったのが剛しいらの『神のきまぐれ』。イケメン刑事×美人医者(殺人鬼)のミステリチックな小説。口コミから体を重ねるシーンは無しとの事前情報を得て、腰を据えてじっくり読める系かなあと期待して手に取った。

 

何より、葛西リカコ先生の美麗なイラストがそそる…! すらっと長身、憂いめいた表情の美しいメンズが顔を寄せ合う表紙の破壊力ったら。どの挿絵もすんばらしかった。ミステリームード漂う葛西リカコ先生の美麗イラストを見れただけでポチッた価値はあると本気で思う。

 

今のところ、私のなかでは凪良ゆうの『美しい彼』シリーズを超える傑作BLはないと思っているのだけど、それも葛西リカコ先生が手掛けたイラストも込みで…と思っているから、やっぱりイメージビジュアルがハマるかどうかって超重要だな。

 

さて本作は、かつて先輩刑事が取りこぼした犯罪者たちが次々に死んでいって、これは連続殺人事件では…? と疑う刑事の宇佐見と、明らかに重要参考人の美しき外科医、鈴村が互いの思惑を絡め合う、ミステリー風味のストーリー。構成上、謎は多くないから、あくまで“風味”で、平日の仕事終わり、頭を使わずにさらっと読み切れる内容だった。

 

作者あとがきを読んで合点がいったのだが、罪の意識を一切持たない鈴村の人物造形は、かの天才殺人鬼、ハンニバル・レクター博士にインスパイアを受けているようだ。一応付け加えておくと、トマス・ハリスの『羊たちの沈黙』シリーズに出てくる医学博士にして稀代のシリアルキラー、である。

 

もっともっと、この僕に恋して欲しい。そしてもっともっと、僕を疑い、苦しんでくれと鈴村は願う。

 

4歳にして初めて人を殺し、肉体ではなく心を犯したいとする鈴村は、自分の美しい容姿と可愛らしい振る舞い(演技)に耽溺していく宇佐見を陰で嗤う。そして宇佐美はというと、次第に鈴村が怪しいと勘づきつつも、惚れた弱みで真実を掴むのをためらう。

 

私的にはそうそう、コレコレ! なシチュエーションだ。私も『羊たちの沈黙』は大好物なので、作者さまの気持ちはめっちゃ分かる、という気になっている。…ここに、ガツンとミステリーが効いていたら、もっと面白いことになっていると思うのだが、いかがだろうか(冒頭に戻る)

 

BL×ミステリー、どこだー! まだまだ継続して捜索にあたりたい。