ただ、ボラを愛でたくて。BL感想日記

ただ、ボラを愛でたくて。BL感想日記

ミーハーとマイナー上等。ニアもブロマンスもニオイ系も好き。読んだBL感想をネタバレなしでレビューします。

古典ミステリを思わせるBL小説「海辺のリゾートで殺人を」(楠田雅紀)感想

孤島に新設されたリゾート地のモニターとして集められた客たち。夢のような場所で、事故か事件か微妙なラインの死亡案件が発生する。通信機器が使えず、警察も救助も、迎えの船も呼べない疑心暗鬼のなかで、さらなる悲劇が。

 

世間から完全に隔離された孤島! しかも客たちは鼻につくイヤなやつばかり! 立て続けに起こる殺人…アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせる設定が、ミステリ好きの血をうずうずさせる楠田雅紀の「海辺のリゾートで殺人を」。

 

いまいち…なんてレビューも見かけていたから、正直どうかなと思っていたけど、不覚にもじゅわっと涙が滲んだ。そうそうこれだよ、私が求めていたやつ!

 

作者さまにとって、これが初のミステリものというのだから…次作(ミステリものの)への期待を持たずにはいられない。控えめにいって、最高でした。

 

推理小説として読んだら、もちろん(?)アンフェアな作りではある。とはいえ、犯人の意外性とか、そこに至るまでの道筋とか、ラストで明かされていく真相は鮮やかで見事。

 

どこまでもクズな人間への怒り、復讐せずにはいられない人の深い絶望、孤独、悲しみ。滲み出る悔しさ、やるせなさに共感して、涙なくして読まずにはいられなかった!

 

本作がしっかりミステリーテイストで面白く仕上がっているのは、キャラクターに破綻がないというのも大きな理由だろう。ミステリーなら謎解きもそうだけど、動機だって肝心だ。「俺の体が血を欲してるんだ…!」とか「単純に気に食わなかったから」とか、チンプンカンプンな浅い理由で殺人が起これば、なんだそりゃって白けてしまう。

 

少し前に読んだサスペンス系BLで、どうしても会話が甘すぎるというか、ファンタジーというか、大の大人がそりゃねぇーだろ?!と思わざるを得ない会話の応酬で食傷気味になったものだから、地に足ついた感じの登場人物たちが本当に悲しくて、愛おしくて、応援したくなってしまったよ。

 

この作品に続編はないだろうか、作者さまにはまたミステリ路線の新刊を期待したい。