ただ、ボラを愛でたくて。BL感想日記

ただ、ボラを愛でたくて。BL感想日記

ミーハーとマイナー上等。ニアもブロマンスもニオイ系も好き。読んだBL感想をネタバレなしでレビューします。

もしもあの時、好きと言えていたら。「セックスアンフレンド」(相野ココ)感想

ちょっとしたすれ違いを、ボタンの掛け違えということがあるけれど、そうじゃないと思うんだ。

 

ボタンを掛け違えたくらいで、人はずっと引きずったり、後悔し続けたりするわけない。…ほんの、ちょっとしたことだったんだと、自分に言い聞かせて、諦めようとする口実なんじゃないだろうか。

 

好き。たったの一言で良かったのに。自分の想いを正直に吐き出せなかったふたりが、ずいぶんと遠回りして愛し合うまでを描いた相野ココの「セックスアンフレンド」。高校を卒業する日にはもう、ふたりは相思相愛だったのに、それから5年を経てようやく結ばれる話。

 

たった一言でいい。とは言ったものの、高校3年、卒業の日。ふたりはずっと本音にフタをして、あるいは自分の気持ちにすら気づいていなくて。

 

言えるわけがなかった。男の自分が、男の彼に。

 

宙ぶらりんのまま時は流れ、ひとりは1回限りの関係を繰り返し、ひとりは俳優として熱愛スキャンダルの中にいた。

 

突然自分を切り捨てた相手に復讐しようと近づくひとりと、自分を罰しようと相手のあらゆる思惑に気づかぬふりをするひとり。

 

攻めとか受けとか、当て馬とか、その言葉どおりの、王道をいくキレイなストーリーラインなんだけど、BL用語を使ってうぇーいと語るのがちょっと出来ないくらい、甘酸っぱくて、苦くて、後味さわやかなラブストーリー。

 

どうして好き合っているのに、こんなに歪んでしまったんだろう。幸せでいられないんだろう。そんな苦しさを経て、ふたりがあの頃に戻ったかのように想いを通わせ合う時のカタルシスったら、金曜の朝から滲む涙が耐えられなかった。

 

とくに寡黙な男の想いが溢れて、涙がぽろぽろ、顔ぐしゃぐしゃなシーンに心が鷲掴み。それを変わらないなって、優しく包み込んで重なるふたりの尊いことよ。もう3周くらいしたけど、その度に胸がいっぱい。

 

ボタンを掛け違えたと気付いて割り切ろうとするのではなくて、認めて解いて、あるべきところに戻っていく。空いた穴がぴたりと埋まるみたいな、気持ちのいい作品。大好き。